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骨髄ドレナージ法 [一般診療]

本日、股関節形成不全の犬に骨髄ドレナージ法を用いた手術を行った。

骨髄ドレナージ法とは愛知県豊田市にある豊田山之手病院の新城 清先生が考案した人医ではかなりの効果をだしている治療法である。

先生は関節の痛みは骨粗鬆などが原因で関節を形成している骨にひび(クラック)が生じ、そこから関節液が骨髄内に浸潤して骨髄内圧を上げることによって起こる。と考え、骨に穴を開け内側が空洞のピンをはめ込みドレナージすることで常に内圧を上がらないようにするこの治療法を考案したのだ。
その際骨内の痛んだ骨髄を掻き出すことで新しい骨髄の再生を促し、それがひいては関節の修復をもたらす結果にもなる画期的な治療法だ。

この治療法に興味を持った私は4年前、教えを乞いに先生を訪ねた。先生は病床の身にも関わらず快く私を受け入れてくださりその日3例の手術を見学させた頂いた。

実際手術を行ったのは先生の息子さんと豊田山之手病院の院長で先生のお兄様である新城 健蔵先生の息子さんが行い、清先生は車椅子から手術の指示をされていた。

清先生は残念ながらその後まもなく他界された。 私はなんとか先生の意志に報い症例報告をしたかったのだが、この4年間なかなかその機会がなく今日に至っていた。

今回の症例も飼い主さんとよくよく話し合い吟味しこの方法を選択した。

今回は右大腿骨の大転子(骨盤と後肢つながっている所の左右の出っ張り部分)下部から大腿骨頭に向けてドリルで1箇所穴を開けることにした。

IMGP9542_R.JPG

人間の治療のように骨に中空ピンを差し込むことは犬の骨の大きさ上できなかったが、Φ5mmの穴をあけ内部の傷んだ骨髄を掻き出すことはできる。

IMGP9545_R.JPG
キュレットで掻き出しているところ

IMGP9543_R.JPG
掻き出した痛んだ骨髄

あとは結果を待つのみ。
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コメント 4

しょじろ。

その後、わんこの調子はいかがでしょうか?
私も骨髄ドレナージ法に興味があるもので・・・。
by しょじろ。 (2010-09-10 08:16) 

anemone1001

しょじろさん こんばんは
このわんこは術後痛みなく歩くようになりましたが、他のところに腫瘍ができ、お亡くなりになりました。
もっと経過をみるチャンスだと思っていたのに、残念です。

開けた穴をどのように維持していくかが課題ですね。


by anemone1001 (2010-09-21 22:32) 

しょじろ。

そうでしたか。残念!
関節にドレナージを入れて関節内圧が上がらなければそもそも骨とう内の圧力も上がらない気がしますが如何でしょうか?
by しょじろ。 (2010-09-29 20:09) 

anemone1001

しょじろさん それも一方法だと思います。ただ関節へ長期にわたってドレナージをしておいた場合、関節胞を痛めたり関節炎を起こす恐れがあると思うのですが・・・。この点骨髄ドレナージ法はまったく問題ありません。
by anemone1001 (2010-09-30 08:39) 

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